こんにちは。TEAM xoxoのロンです。
今回は緊急で、「レバナスの急落は予想出来た件」についてです。
■米主要3指数ウクライナ侵攻後安値を大きく下回る
利上げ、インフレ、景気急落懸念で米国株が急落し5月20日には主要3指数(NYダウ、S&P500、ナスダック総合)とも年初来安値をつけました。
NYダウの場合、22年1月過去最高値36,679ドルをつけました。金利上昇とウクライナ地政学リスクで調整局面となりましたが、ウクライナ侵攻が始まった2月24日に32,272ドルと一旦安値を付けました。「号砲で買い」という相場格言通りの動きでした。その安値を割り込む事はないとの見方がコンセンサスでしたが、ウクライナ侵攻の長期化とインフレ懸念拡大で5月9日には2月安値を割り込みました。5月20日は31,514ドルまで下げ、1月高値からの下落率は17%に達しています。
ナスダック総合指数の場合、下げはさらに厳しいです。過去最高値が21年11月の16,212ポイント。ウクライナ侵攻後は3月14日の12,555ポイントが安値でした。ナスダック指数はダウに比べてハイテク比率が高いのが特徴です。米国10年債利回りが上昇し、金利の上昇で売られやすいハイテク株の下げが続き、調整は長期化しています。4月29日にウクライナ侵攻後の3月安値を割り込み、さらに一段安でトレードされています。21年11月高値の16,212ポイントから、5月20日安値の11,035ポイントまで32%の下落です。
日経平均が26,739円(5/20)とウクライナ侵攻後の3月9日安値の24,681円を7%上回っているのと対象的です。
★ナスダック総合指数のコロナ後の日足
■レバナスはピークから5割の下落
ナスダックで構成比の高いGAFAMTなど主力IT系銘柄の下落率が厳しくなっています。5月20日時点で、アルファベット(グーグル)が過去最高値から28%、アップルが25%、メタ(旧フェイスブック)が50%、アマゾンが43%、マイクロソフトが28%、テスラが47%下落しています。これは投信や個人の持ち株比率が高いため、損失確定の売りの影響がとまらず、逆回転し始めたためです。
コロナ後の株価上昇は、ウィズコロナで巣ごもり需要という特需も発生したことで、グロース企業が牽引しました。したがって、ナスダック100指数にレバレッジを掛けた投信(ブル型)が日本の個人投資家を中心に人気化しました。ナスダック100のレバレッジ投信は、ナスダック100先物に200%投資することでナスダック100のパフォーマンスの倍になるように設定されています。
代表的なのは大和投信の「iFreeレバレッジ NASDAQ100」、楽天投信投資顧問の「楽天レバレッジNASDAQ-100通称: レバナス」です。
iFreeレバレッジ NASDAQ100の5月20日の純資産総額(AUM)が1,254億円、基準価格は21,140円。21年11月22日に付けた過去最高基準価格の43,151円から51%下落しています。
レバナスのAUMが203億円、基準価格は5,019円。21年11月22日の高値10,322円からの下落率は51%です。
これらがさらに逆回転するリスクを考えておいた方がいいかもしれません。昔はレバレッジ投信なんてあまりありませんでした。レバレッジ投信は解約されれば、たとえばレバナスの場合、倍のロットの先物を売るわけです。調整が以前より大きくなるのか、それとも早く調整が終わるのか、過去に例がないので正直読み辛いのはこのあたりです。
★iFreeレバレッジ NASDAQ100 月次レポート
★iFreeレバレッジ NASDAQ100 チャート
★レバナス 月次レポート
★レバナス チャート
■外国株投信設定ラッシュで一旦天井形成
投信はスポットで人記がある時に買うと高値掴みになりやすいという性格がある商品です。
上がっている投信の方が金融機関も売りやすく、投資家も買いやすいからです。たとえば、ナスダック総合指数は過去3年、19年35%、20年44%、21年21%上昇しています。証券会社もナスダックはパフォーマンスがいいので売りやすく、個人投資家も回りで儲かっている人が多いので買う人が増えます。
ただ、投信は1兆円を超えるような規模になると、ファンドの大きさから運用が難しくなります。ファンドのポートフォリオはアクティブの場合、通常15銘柄から100銘柄程度です。1兆円ファンドで100銘柄買うとすると1銘柄100億円です。コア銘柄の場合500億円から1000億円買わなくてはなりません。市場インパクトが大きくなりすぎるのです。
GAFAMTをそれぞれコアのポートフォリオにしていれば、ニューマネーで同じ銘柄を買い増します。だからバブル時は同じ銘柄がトコトン上がる現象が起きます。
一方、投信価格が値下がりして解約が増えると、持株を換金せざるを得ません。ファンドの売りのインパクトで主力銘柄の下げが加速されることが増えるのです。
成長力が高いからとか、PERが安いとかと関係なく換金売りしなくてはなりません。だからバブル化した投信が逆回転したときに相場の調整は厳しくなります。
いつ弾けて逆回転するかはわかりません。ただ、メディアをにぎわすほと急増したときはだいたいピークをつけます。それは、投資家がその投信をほぼ全力で買い、それ以上買える余力がなくなるところに、景気や企業業績の逆回転がおこるからだと思います。
■投信ピークからのテクノロジー株逆回転
あるテーマ型の投信が爆発的な人気になり、バブル化し、それが弾けて大きな調整になるというのはおおよそ7年サイクルで何度も繰り返してきています。投資歴の長い投資家にとっては「いつか来た道」です。
2000年ITバブル時の投信、2007年中国株バブル時の中国株投信、14年シェールガス革命時の高配当型の投信など、7年おきに大人気で1兆円を上回るようなヒット投信が誕生しては、その前後でピークをつけ、対象市場は数年間にわたる大きな調整を経験してきています。
21年は7年サイクルで言うと危険な年でした。21年年間の株式投信(ETF除く)への純資金流出入額をモーニングスター大分類別にみると、国際株式型に約8.35兆円の純資金流入があり、20年の3.59兆円の2.3倍と加速しました。全体の純資金流入額に占める割合は9割であり、投信を買う人のほとんどのが海外株に投資するファンドを買ったワケです。
個別のファンドで一番資金流入額が大きかったのは、『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)』で9,394億円の純資金流入で、純資産総額は1兆6,694億円になりました。国際株式型で北米株に投資する投信だ。同ファンドの組み入れ株トップ5(21年末)は、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォーム、VISAでした。このように21年に残高を伸ばした投信には米国株に投資するものが主流でした。
ちなみに、ナスダックがピークをつけた21年11月には国際株式型投信に7,900億円の資金流入があり、投信全体でも1兆400億円の資金流入がありました。1兆円を超えたのは15年6月以来のことです。年末に向けて一般NISAややつみたてNISA枠を使い切ろうと買い増した投資家が多かったのかもしれません。
グローバルで言うと、コロナ後に話題となったアーク・インベストメントのアーク・イノベーションファンドETF<ARKK>の場合。19年の年間リターンが35%、20年が2.5倍となり脚光を浴びました。ピーク時のAUMは279億ドル(約3.5兆円)、ピーク時の基準価格159.70ドル(21年2月)。現在AUM83億ドル(約1兆円)、基準価格42.41ドル。AUMが株価の下落と解約で2.5兆円減り、株価は73%下落しています。
★アーク・イノベーションファンドETFのコロナ後の週足チャート
■長期の積み立ては継続 分散投資は必要
7年サイクルというのが大きな損失を受けた人が忘れて、次のバブル商品に投資するサイクルとして、景気サイクル的にも心理的にもちょうどいいからだと思っています。
潜在成長力が低い日本よりも海外株等に分散投資することは間違ってはいません。分散投資の鉄則通り、たとえば全力をナスレバに投資するのでなく、分散することを考えたほうがいいでしょう。特に長期積み立てでなく、スポットで投資する場合は注意するべきです。大きなバブルが弾けた場合、含み損の解消に数年かかることはザラです。近い将来に資金ニーズがある場合や自分の損失限界に近い場合などは、一旦ロスカットするという決断もしなくてはならないでしょう。
ただ、週刊XOXO2号でも説明しましたが、ナスダック総合指数がナスダックの全銘柄を時価総額ウェイトで採用した指数なのに対し、ナスダック100は毎年時価総額上位100銘柄のナスダック銘柄で構成される指数です。基本的には連動しますが、100のほうがより成長性のある企業をピックアップできる指数です。したがって、長期の積み立て投資では、xoxoでは「最強」という見方に変更はありません。
しかし、レバレッジ投信は先物を買い立て、期日毎に乗り換えるため、コストの高い商品です。長期投資ならコストの安いインデックス型のナスダック型にすべきで、レバナスを長期積み立てでやっている場合は見直しも必要です。
xoxo ロン
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