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日本株で勝ちたければ米国株を知ることから始めよう!(第2回)

更新日:2022年5月29日

日本株で勝ちたければ米国株を知ることから始めよう!(第2回)


メルマガのサンプル号で「日本株で勝ちたければ米国株を知ることから始めよう!(第1回)」と話しました。今回はその話をすすめていきます。


その前に、サンプル号の簡単な復習をしておきましょう。なぜ日本株投資をするのに米国株を勉強するべきなのか?という内容です。サンプル号を読んだ方は【米国市場が重要なワケ】は飛ばしてくださいね。


【米国市場が重要なワケ】


・世界の運用資金が一番大きい国が米国


2020年末の世界の運用資産残高は103兆ドル(約1京3000兆円、京なんてさすがに金融の世界でもあまりつかいませんね)と過去最高に達しました。21年の米国株の上昇を考えると21年末はもっと増えていることでしょう。

59%が機関投資家、41%が個人の運用資産です。地域別では北米が47%、欧州が25%、アジア(日本と豪州を除く)14%、日本と豪州が8%。米国の運用資金は桁外れにでかいのです。

メインプレイヤーの動向が見えないと金融市場を理解するのは難しいでしょう。


・世界の株式市場で時価総額が一番大きいのが米国市場


世界の株式市場の時価総額の総計は約66兆ドル(約8400兆円)。米国が39兆ドル、日本は世界では2位だけど4兆ドル、3位英国3兆ドル、3位中国2兆ドルです。比率では、米国が60%、日本が6%、英国4%、中国4%です。日本の株式市場は世界では2位なのですがたった6%にしかなりません。株式投資するなら最大の米国での動向が解らなければ話にならないのです。

前述のとおり世界の運用資金は103兆ドルです。株式時価総額は66兆ドル。投資先は株の他に、債券、オルタナティブ(ヘッジファンド、REIT、土地、プライベートエクイティなど)、商品などに投資されているのですが、金余りなので常に資金はリターンを求めて金融市場を巡回します。今、資金がどこに向かっているかを把握するためにも米国はみるべきでしょう。


・世界の投資家が一番投資しているのは米国株


世界の機関投資家の多くがベンチマーク(指標)としているのはMSCI世界株指数(オルカン)指数です。オルカンの国別のアセットアロケーション(投資配分比率)は米国が61%、日本が6%、イギリス、中国が4%です。前述の世界の時価総額に準じた比率になっています。

機関投資家は平均して株式運用資金の6割を米国株に投じていると言うような意味です。機関投資家がコアとして長期保有している銘柄は長期でリターンを生み出す可能性が高く、そのトレンドをつかためにも米株のチェックは必要です。


・日本株の外国人の保有比率は30%


東京証券取引所が毎年7月に発表するデータに日本株「株式分布状況調査」があります。年度末の日本株の保有状況に関する調査です。21年3月末時点での日本株の保有状況が以下の通りです。


外国法人     30.2%(前年度比+0.6%ポイント)

金融機関     29.9%(同+0.4%ポイント)

(うち信託銀行  22.5%(同+0.8%ポイント))

個人       16.8%(同+0.3%ポイント)

事業法人     20.4%(同 - 1.9%ポイント)


日本株を一番持っているのは外国人なのです。だから外国人のトレンドをみるために外国株をみる意味があります。

ちなみに、信託銀行の保有する日本株は、GPIFの国民年金を含め、厚生年金、企業年金などの保有する株および投資信託保有分です。僕たちの年金運用の資産全体よりも外国人の保有比率が高いんです。


・日本株市場で外国人投資家の売買比率は60%、


日本株保有が一番多いのが外国人なのですが、東証での売買シェアではさらに上がります。21年の年間のシェアが外国人が60%です。個人が19%、法人が7%。日本市場が動くのはほぼ外人動向と連動します。

外国人は基本的には米株についても日本株についても、グローバルな見方でファンダメンタルズに基づいて投資しています。アセットアロケーションで米株を増やしたり、日本株を増やしたり、新興国を増やしたりと調整をします。

投資においては大きな資金の流れをみることが大切です。と言うことは、米国の投資家が何を考えてどのように投資しているかを知るために米国市場の動向を知ることは必須ですね。


・経済のグローバル化、世界経済のシンクロ化


GAFAM(アルファベット、アップル、メタユニバース(旧フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフト)という米IT系ジャイアンツは世界中のプラットフォームになり、世界におけるPC、携帯、ゲーム、半導体などのトレンドは世界的に連動性が高くなりました。

米国の半導体メーカーの業績が向上すれば、アジアで半導体を製造しているメーカーの業績や日本の半導体製造装置メーカーの業績も上向きます。株価の連動性が高くなりました。

また、世界的にテーマ投信というのが売れ筋となり、「5G」「EV」「半導体」「環境」などテーマ投信は、米国株も日本株も欧州株も同じテーマの銘柄へ投資します。したがって、世界の株価のセクター毎の連動性がかなり高くなっているのです。米国で人気化しているテーマや投信、ETFはフォローしておくべきでしょう。


・米国企業の決算シーズンでは日本市場が一番に評価する市場になる


アップルが米国市場で引け後に決算発表をすると、アフターマーケットという日本のPTS市場のような市場はありますが、アップルの好決算を一番に評価する主要市場が日本になります。

もし好決算で翌日のアップル高を見越すなら、アップルと連動性の高いアップル関連の日本株を先に買っておけるのです。決算シーズンには米国株が日本株に大きなヒントを投げかけてくれる事が多いのです。

先日、ネットフリックスが新規会員数がマイナスに転じ米国市場で1日で35%も下げました。ネットフリックスが決算発表したのは前日引け後。アフターマーケットで25%安まで売られていました。それをわかっていれば、翌日の本市場でのネットフリックス安は想像できたはずです。ネットフリックスは画像配信の企業です。ウィズコロナで新規会員が増え、業績が拡大し買われた銘柄です。翌日、画像配信銘柄やウィズ・コロナ銘柄が連れ安したのですが、これも想像がついたでしょう。わかっている投資家は、日本市場で先に関連する銘柄を売っておいたのです。

米国で半導体が買われれば、日本株でも半導体が買われる可能性が非常に高いです。米国で銀行が買われれば日本でも銀行が買われる可能性が高いです。今後、色々と紹介、色々と紐付けしていきますが、今回は上述のイメージしやすいアップル関連について次に紹介します。


【アップル関連企業にみる世界の株価連動性】

米国株と日本株、世界株の連動性の高さを説明するのに一番わかりやすいのがアップル関連でしょう。

村田製作所はアップル向け(会社は正式にはアップル向け売上などは非公開)のセラミックコンデンサや5G向けのモジュールなど、iPHONEの重要部品を提供しています。業績や株価はアップルと連動性が非常に高いです。

日足で比較してみましょう。アップルは22年1月4日に過去最高値をつけています。村田製作所<6951>の過去最高値は22年1月5日とほぼ同じ日です。

その後、アップルは1月24日まで大きく下げてから反発し、2月9日が戻り高値。あらためて売られ3月14日に年初来安値まで下げます。iPhone13の世界での販売動向、決算、決算ガイダンス、中国での工場停止などが材料で株価は動きました。

村田は1月27日まで高値から下げ、戻り高値が2月1日、3月8日に年初来安値まで売られます。チャートの節目がほぼ一緒ですよね。専門的な言葉では「天底一致」といいます。アップルのイベントをフォローしながら、売り買いしておけば村田の投資機会がすごくクリアになりませんか?


アップル<AAPL>日足


村田製作所<6981>日足


台湾に鴻海精密工業という会社があります。英語名はFOXCONN。シャープ<6753>を救済した企業です。この会社はiPHONEの組み立てを請け負っているアップルの主要サプライヤーです。当然業績や株価はアップルとの連動性が高くなります。

1月4日に年初来高値。2月7日にその後の安値。3月1日まで戻して、4月25日年初来安値。基本的にはアップルと天底一致のことが多いのですが、今年は中国でのコロナ感染拡大、ロックダウンにより、深センにある2生産拠点の業務を一時的に停止したため株価は直近で下抜けています。


鴻海精密工業<Taiwan:2317>日足


【アップルをみれば日本、アジアの株が見える】


アップルは、パーツなどを提供している企業の「アップル・サプライヤーリスト」を毎年公開しています。このリストにある企業はアップルのサプライチェーンとされ、世界的にアップル関連銘柄として注目されます。

iPhone向けのCPUを提供しているのが台湾積体電路製造 (TSMC)、iPhoneの組み立てを行う鴻海精密工業(ホンハイ、FOXCONN)、 iPhone向けのカメラ・モジュールを提供する大立光電(ラーガン・プレシジョン)が台湾のアップル関連銘柄。

アップルのサプライチェーンへの発注が、台湾のIT関連企業の受注を押し上げ、業績を押し上げ、株価を押し上げるというサイクルがあります。台湾の受注動向や台湾IT大手の19社の月次売上は日経新聞などでも定期的にフォローされているので、アップルの動向を見る指標として世界の投資家から注目されています。

韓国でも状況は一緒です。韓国株式指数で最大のウェイトを占めるサムソンは、iPhone向けに有機ELディスプレー(OLED)パネルを提供しています。

アップルのサプライチェーンだけでこれだけの世界株が見えてくるのです。


・世界のアップル関連銘柄一覧


(※2017年の若干古いリスト) 出典: 大和証券


アップルは米国の企業ですが、欧州や中国や日本での売上も多いです。世界のテクノロジーセクターの動向を決めます。世界の通信企業の動向に直結します。アップルの動向をつかんでいれば、欧州、米国、日本だけでなく、アジア株まで見えてくるのです。


・アップルの地域別売り上げ構成


出典: 三菱UFJモルガンスタンレー証券


・アップルのサプライヤーの分布状況(19年)



出典: 日本経済新聞


もちろん、村田製作所の業績を分析することは投資で非常に大事です。でもその前に、アップルの決算、生産動向、新製品の情報などの米国の動向をしっかりをつかんでいれば投資の方向性を間違えることはないでしょう。

これが、日本株で勝ちたければ米国株を見るべきだという理由です。次回は、米国株のプロ流の見方。アップル関連以外のリレーする銘柄の早見表などを紹介するつもりです。


xoxo ロン


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